体から堕ちる恋――それは、愛か否か、
百合のアイディアに拓未は数秒考えたそぶりを見せたが、すぐに「いい。行くなら一人で行くよ」と、缶ビールを飲んだ。

風に乗ってふわり舞い落ちてきた花びらが、ビールで湿った百合の唇の上に着地した。
拓未はその花びらをつまもうと指を伸ばしかけ、しかしその指はユリの唇の手前で止まり、そのまま引き込まれるように自分の唇を重ねた。

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