囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
残業を一時間してから支店を出て、駅についたのが六時五十五分。
電車は出たばかりみたいで、次のは十二分後だった。
それを確認してから、開いているベンチに腰を下ろす。
座って、ホームを忙しなく行き交う人たちを眺めながらふぅ、と軽く息をついた。
なんだか疲れた一日だった。
というのはもちろん仕事云々ではなく、花岡さんだとか大崎くん関連でもなく、及川が原因だ。
話さないっていうのもあるけれど、一番気をもんだ原因は、及川の視線だ。
ふと気付けば、意味ありげな眼差しを送っている及川がいて、それを意識しないようにって意識するせいで、精神力がすごい削られた気がする。
及川が、なんであんな風に見てくるのかは分からないけど、いい加減にして欲しい。
まさか、私が及川を好きだって事を知らなかったわけでもないくせに、今更あんな……と考えてから、カバンからスマホを取りだす。
昨日の夜、小田くんからメールが来ていたのを思い出したからだ。
金曜日の夜の事で、ありがとうって内容のメールが。
返そうと思ったまま返せていなかったことを思いだし、メール画面を開く。
と、同時にスマホが震えるから驚いた。
受信したメールをそのまま開くと、差出人欄にあったのは、及川の名前だった。
瞬間、ドキッとしながらも、なんだろう、と思いながら開いたメールには『今、深月の後ろに座ってる』と書かれていた。
後ろってまさか……。
そう思ってバッと勢いよく振り返ると、そこには確かに及川の後ろ頭があって。
意外と近いなとかいう視覚的感想から、なんで及川がここに……という驚きを一通り頭の中を駆け巡らせた後、ゆっくりと座り直した。