囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
『本当は支店出た時から後ろ歩いてたんだけど、深月、全然気づかないから』
また届いたメールに、すぐ後ろにいるのにと、なんかおかしな気がしながらも返信画面を開いた。
『声かければよかったじゃない』
『話しかけるなって深月が言ったから。速度合わせて歩けば痴漢だと思って振り向くかと思ったのに、気づきもしないし』
『この辺は割と人通りあるし、そこまで意識しないから』
『それにしたってもう少し気を付けてもいいと思うけど。襲い掛かろうとすれば簡単に襲えたし』
『じゃあ以後気を付けます』
それまではトントンと進んでいたメールが、少し途切れる。
ちょっと冷たい返し方しちゃったかなとも思ったけど、そうこうしているうちに電車が着くってアナウンスが入ったから立ち上がろうとするも。
それより先に後頭部に感じた軽い衝撃と重みに、それを止められる。
振り向けないからただの予想だけど。
多分、私の頭に、及川が頭を預けたんだと思う。
コツン……って寄せられた重みに、思わず息を呑んだ。
『待って。いかないで』と、受信したメールに何も返せずにいると。
『大事な話があるから。俺の部屋、寄れない?』
続いて届いたメールと同時に、電車が到着する。
ゆっくりと振り向くと、それに気付いた及川も、寄りかかるのをやめてこちらを向く。
もう何度と見た、真っ直ぐな真剣な瞳に見つめられて……眉を寄せて目を伏せる。
電車が、プシューッと音を立てて発車した。