囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~



「どーぞ」

ここに来るまでずっと無言だった及川が、アパートのドアを開けながら言う。

及川が住むアパートを初めて見たけれど。
なんか……キャラ通り、洒落ていて嫌な感じだなというのが第一印象だった。

黒の正方形の建物が八棟ほど並んでいて、それぞれに赤やら青やらの玄関ドアがついている。

建物にたいして知識がないからなんとも形容しにくい。
モダンでスタイリッシュな造り……とでも言えばいいのだろうか。

ひとつひとつの建物にドアはひとつだけだから、どうやら二階建のメゾネットタイプらしい。

及川が開けたのは、黒に青い玄関ドアの建物だった。

青は青だけど、ビビットカラーではない。
目に優しい、落ち着いた青だ。

中に入ると、右わきにストリップ階段があって、正面にはリビングダイニングが広がっていた。
ほとんどが白い壁紙だけど、一面だけこげ茶色の壁紙が立ちあげられていて重厚感がある。

床には薄いグレーのタイルが敷き詰められていて、その上に黒い、大きな水たまりみたいな、歪な楕円形をしたラグが敷かれていた。

置いてある照明だとかパソコンラックだとか、インテリアもいちいちオシャレだな、と見渡しながら、「話すんだ」と言うと、及川が笑う。

「さすがに、ここに連れてきてまでメールはしないよ」
「なんか、及川って感じの部屋だね。よく言われない?」
「そう? 家族以外連れてきた事ないから初めて言われた」
「ああ、そっか」


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