囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
すごいなぁ……と思いながら見渡していると、及川がガラスのテーブルの上にカチャリとマグカップを置いた。
ふたつ並んだ、白と黒のボーダー柄のマグカップを眺めていると、隣に座った及川が「初めて使った」と笑いながら言う。
「引っ越した時に、お祝いって大学の時の友達にもらったんだけど、誰も呼ばなかったから使う機会なかったし。
これ、大学でもらって、じゃあ落ち着いたら呼ぶって流してそのまま」
「引っ越し祝いもらっておいて呼ばないとか」と、苦笑いを浮かべると、ひどいという自覚はあるようで、及川も同じように笑う。
「……本当に嫌いなんだね。人呼ぶの。
及川のそういう部分わかってても、人当たりの良さ見てるせいで毎回、意外だなって思う」
「人が嫌いなわけじゃないんだけどね。なんか、わざわざ家でまでは一緒にいたくない」
「パーソナルスペースって言うんだっけ。それが人より広いのかもね」
「いただきます」とマグカップを手に取って、及川が淹れてくれた紅茶を一口飲む。
入れたばかりなのに熱すぎないそれに、どうやって温度調整したんだか知らないけど、及川らしいなと思った。
へらへらしていて軽いのに、どこか慎重っていうか、神経質っていうか。
そういう部分を……全部、好きなんだけど。
と、思い、ため息を落とす。
それから、マグカップを置いて、隣に座る及川を見た。