囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~


「ああ、そういえば大崎くんは泊まりって初めてよね? 金曜日、仕事が終わったらそのまま車乗り合わせて旅館行くから荷物忘れないようにね。
毎年ひとりいるのよね。旅行鞄忘れちゃう人。
で、泊まった翌日の土曜日、朝ごはん食べた後、支店まで戻ってきて解散って感じだから」
「へー。なんか楽しそうですね!」
「楽しくは……ちょっとどうか分からないけど、ご飯はおいしいし部屋もお風呂も綺麗だし。実費ゼロで泊まれる事を考えればいいかもね」

含みのある言い方をした手塚先輩に、大崎くんがキョトンとした顔で聞く。

「楽しくないんですか?」
「楽しくないわけでもないけど……ほら、みんな酔うじゃない。そうすると色々面倒なのよね。
はしゃいじゃって他のお客さんの迷惑になったりするし、カラオケで無理やり歌わされたり」
「なるほど……」

そう呟いた大崎くんが、何かを思いついたように「あ、じゃあ!」と明るい表情を浮かべた。

「深月さんや手塚さんが飲まされそうになったり歌わされそうになったら、俺が身代わりになっておふたりを守りますっ」

意気揚々と、任せてくださいと胸でも叩きそうな大崎くんに、手塚先輩が苦笑いを浮かべる。

「まぁ、ぜひお願いしたいところだけど……でも大崎くん、一番最初に潰れると思うけど。
決起集会、あれくらいでわけわかんない事言い出すくらいなんだから頼りにはできないわよね」

「ねぇ、深月」と、意味深な笑みを向ける手塚先輩が何を言いたいのかが分かって眉を寄せる。

手塚先輩の言う『わけわかんない事』が、あの告白もどきだって気付いて「わけわかんない事……?」とキョトン顔をする大崎くんの意識を、「それより」と強い口調で強引にこちらに引っ張った。





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