囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
「大崎くんをからかってるならやめて」と、ついに注意したのは、その週の水曜日。
誘われて寄った、及川の部屋でだった。
その日も、大崎くんがいる前で私の事をわざとらしく名前で呼んだのを聞いて、もう我慢ならないと息を巻いていたら〝今日寄らない?〟と呑気な笑顔に誘われて。
若干、その笑顔に鼻をくじかれつつも頷き、ご飯を外で済ませた。
そして、コンビニで軽く買い物をして寄った、及川の部屋。
ソファーに座るなり言った私の発言は、及川も予想していたモノだったのか、そう驚きも焦ったりもされなかった。
炭酸水のペットボトルを開けながら、及川が笑う。
「からかってるつもりはないよ。ただの牽制。深月が俺との事を内緒にしようっていうから、大崎にもちゃんと言えてないし。
だから、暗に俺と深月の仲見せつけてるだけ。勘がよければ普通気づくと思うけど……大崎はその辺鈍そうだから分かってないみたいだけど」
「そうでもないと思う。月曜日、付き合ってるわけじゃないですよねって聞かれたし」
眉を寄せながら言うと、及川は意外だったのか「へぇ」と驚いて、楽しそうな笑顔を浮かべた。
「なんて答えたの?」
「手塚先輩も聞いてたし、デスクでの会話だったから、ただの同期だよって。
大崎くんは信じてたけど……手塚先輩はなんかちょっと怪しく思ってそうだった」
「あー……手塚さんは確かにその辺の勘鋭そうだな」
「及川は知らないだろうけど、何か探ってる時の目なんてすっごい怖いんだから。もう手塚先輩の前で嘘つくとか冷や汗ものだし勘弁して欲しい……」
俯いてそうため息を落としてから、もう一度視線を及川に戻す。