囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
予想もしなかった答えに驚く。
だって、付き合ってる今ならまだしも、ただの同期だった頃から、そんな風に考えてくれていたなんて思いもしなかった。
だから、信じられない思いで「付き合う前から……?」と、聞くと。
及川は、当たり前だろってニュアンスで「そうだけど?」と答えた。
「付き合ってても付き合ってなくても、大事なヤツは大事なヤツだろ。
まぁ、女の子相手には薄情だしひどい事ばっかしてたから意外かもしれないけど。俺、好きなヤツには男女問わず割と献身的だから」
そう言われて、なんか言われてみれば確かにそうかもなと腑に落ちる。
及川が、付き合う前から私を特別扱いしててくれたのは知ってるし、それってそういう事だったのかって。
女の子相手に本当にそんなひどい事してるのかなって思うくらいに、及川は私を始めとする同期には優しい。
好き嫌いがハッキリしているというのは、語弊があるかもしれないけれど。
気に入っている人とそうじゃない人とに対する態度に差がありすぎるんだ、きっと。
及川が女の子にひどい事をしてるって初めて知った時、漠然と感じた違和感の答えが分かって、やっとスッキリしたような気分になる。
それと同時に、付き合ってから今までもやもやしていた不安もスッと軽くなった気がした時。
「あ、須田さん発見」
及川がそう言って、車を歩道に寄せた。
見れば営業の須田さんが旅行鞄を下げて手を振っていて。
「いやー、悪いな、及川、深月さん」
申し訳なさそうに笑いながら後部座席に乗った須田さんに、その会話は強制終了となった。