囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~


え。ちょっと待って……と頭の中で誰に対してか分からない言葉を呟いた後、今見た光景をもう一度思い浮かべた。

あの部屋は多分、男性職員用にととってある、大部屋だ。

二次会はもうひとつの部屋で行われてるし、今はラーメン組もカラオケ組もまだ帰ってきていない。
だから、無人ではあるんだろうけど……。

そこでふたりで何をしてたんだろう。

そう思うと同時に、手塚先輩から聞いた噂話を思い出し……それが今の光景とひとつに繋がり、ええー……と顔をしかめた。

本当にそんな事が行われてるなんて思えない。
でも、今この目で見ちゃったし……ふたりきりで誰もいない部屋にいた理由だって説明がつかない。

ふたりとも、本来ならここにはいないハズなんだから。

今目で見た事がすべてだと思いながらも、どこか信じられない気持ちでいた時、エレベーターのドアが閉まるから、慌てて〝開〟ボタンを押しフロアに下りた。

そして、恐る恐る、さっきふたりが出てきた部屋の方を見ると……そこには、こちらに向かって歩いてくる花岡さんの姿だけがあって。

私に気付いた花岡さんは、少しバツが悪そうな顔をした後、はぁっとため息を落とす。

フロアには見る限り私たちがいるだけで、静かだった。
須田さんも見当たらないところを見ると、どうやらこちらとは別の方向に歩いて行ったらしかった。


< 170 / 194 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop