囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
「今の見てた?」と聞く花岡さんに、「はい。……須田さんと」と答えると、花岡さんはもういいと思ったのか開き直ったかのように笑う。
「まぁ、ちょっと噂にもなってるらしいしとぼけるのも面倒だから言うけど。恋愛感情があるとかじゃなくて、ただの刺激楽しんでるだけだから」
爆弾発言に、内心、うわー……と思いながら「そうですか」とだけ答えて、なんとか笑みを返す。
すると、それを見た花岡さんがふん、と鼻で笑った。
「及川くんにとっての深月さんだってどうせそうでしょ」
「え……」と声をもらすと、花岡さんが「見ちゃった。卓球の試合見に来てた時、キスしてたの」とニヤリと笑うから、ああ……あの時、と苦笑いを浮かべる。
だから誰が見てるか分からないって注意したのに……と及川を責めたところでもう遅い。
見られたのはもう仕方ないこととして。
一体花岡さんはどう出てくるだろう、と思いながら構えていると。
花岡さんは、私の頭の中に準備されていた選択肢の中にはなかった言葉を口にした。
「知ってた? 及川くん、私ともキスする仲だって」
声ももらせないでいる私を、花岡さんがにっこりとした笑みを浮かべながら見てくる。
私がショックでも受けていると思ったのか、花岡さんの表情は満足そうだった。
こんな風にわざわざ波風を立てようとするとか……本当に性格が合わないなと思いながら、細められた瞳を見て口を開く。
「及川は、社内の人には手出しませんよ。後々面倒くさいし、仕事に影響が出ちゃうような人は避けてますし」
私の声が思いのほかしっかりとしていたからか。花岡さんは不満そうに少し眉を寄せた後、また笑った。