囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
「うわぁ……」と声とも悲鳴とも言えるようなものが手塚先輩から聞こえてきた。
きっと手塚先輩の気持ちを代弁すればこうだろう。
深月が彼女って分かった上で、価値観なんて曖昧なモノを持ち出して深月より自分の価値を上げた挙句、二番でいいとか言うなんて……卑劣にも程がある!とか、そんなところだと思う。
私も、卑劣というか、すごいなとは思うけれど……隣にいる手塚先輩がわなわなとしてくれているおかげで冷静でいられた。
お化け屋敷とかで、自分よりも怖がっている人がいると落ち着ける、みたいなそんな心境かもしれない。
ねっとりともうっとりとも言える花岡さんの眼差しを受けた及川は、少し黙っていた。
及川は、さっきの花岡さんの話を信じるだろうか。
私が、及川が信じられなくてツラいなんて、大崎くんに泣きついたっていう嘘を。
花岡さんがこれまで必死に立ててきたフラグではあるものの、普通の状態の及川だったら信じないとは思う。
だけど、及川が、大崎くんとの事を少し気にかけてるっていうのは分かってたから……そこが少し不安だった。
大崎くんの事を早く振った方がいいんじゃないかとか、気にしてるみたいだったから。
どんな返事をするんだろう、と思いながら見つめていた視線の先で、及川は、はっと笑ったみたいだった。
見えはしないけれど多分、呆れて笑ってるとか、そんななんじゃないかと予想ができた。