囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
「女に対して最低って噂の及川さんから、まさかあんな台詞聞けるなんて思ってもみなかったわー」
ニヤニヤしながら言う手塚先輩の言葉に、今までの会話が聞かれていた事を完全に悟った及川は、片手で目から上を覆って「うわー、見られてたとか恥ずかしいんですけど」と嘆く。
そのリアクションを見て……ああ、たぶん、絶対に気づいていたんだなと思った。
勘がいいヤツだし……結構騒がしくしてた気がするし、仕方ない。
「深月の事、他の女みたいに傷つけて終わるなら一言言ってやろうかと思ってたけど、違うみたいで安心した……っていうのもまだ早いか。
もう少し続いてみないと分かんないものね」
「その辺は聞いてた通りですから……まぁ、気が済むまで見てから判断してくれれば」
微笑んで言う及川に、「たいした自信ね」と笑った手塚先輩が、私の肩をポン、と叩いてから歩き出す。
「じゃあ月曜日にね」と言い離れていく手塚先輩の背中に「お疲れ様でした」と挨拶してから、及川を見上げると、すぐに視線がぶつかり……そして、わざとらしい困り顔で笑われた。
「深月も聞いてたの? 俺の陰ながらの愛の告白」
「……どうだったかな」
曖昧に誤魔化した私に笑ったあと、及川は「少し話すか」と、立てた親指で旅館の外を指し示しながら言った。