囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
きっと、営業担当の人たちにも〝ああ、また大崎なにかやらかしたか〟くらいに思われてるんだろうなぁと思うから、チラチラ見られたところでもう気にもならない。
それくらい、大崎くんの給湯室前でのお説教は日常と化していた。
もちろん、注意するのは私だけじゃなく、貫井代理がする事も多い。
代理っていうのは、一般企業で言う、課長の位置だ。
貫井代理っていうのは、預金課の代理で、私や大崎くんの直属の上司にあたる。
「だけど、おかしいじゃないですか。なんであっちの間違いで泥棒呼ばわりされて、それでも黙ってないといけないんすかっ!」
「んー、まぁ、大崎くんの気持ちも分かるし、正しいのも大崎くんだけど……もう働いてる以上仕方ないって割り切るしかないんだよ。
私だってどっちかって言えば真面目な方だから、間違ってないのに頭下げる事に抵抗がないわけじゃないけど、仕事中は普通にできるし……慣れるしかないかもね」
「俺、そんな汚い社会に慣れるとか、嫌っす」
「嫌でもなんでも、この会社で働いている以上、仕方ないし、その前にどこの企業で働こうが理不尽な事なんていくらでもあるよ。
多分、警察とかにだってあると思うし。……ああ、ほら、ドラマあったじゃない。熱血系の」
タイトルをあげると、大崎くんは「ああ! あれ大好きっす!」と笑顔を見せたから、ここだとばかりに続ける。
「あの主人公だって、色々我慢して頭下げてるじゃない。頭下げても、自分の中にちゃんと正義があればそれでいいって事でしょ。
そういう気持ち持ちながらも、仕事や仲間のために頭下げて場を丸く収めるの、カッコいいと思わない?」