囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
大崎くん、いい子なんだけど言葉を止めるって事を知らないから、本当にリードが欲しくなる。
花岡さんの嫌味なんて日常茶飯事だ。
いちいち怒ってたらキリがないって、預金課のメンバーはみんな分かってるし、上手く交わせるようになってって後で言わないと。
大崎くんのYシャツを掴んで、〝待て〟をしたまま、花岡さんに「本当そうですよね」と笑顔で返した。
「手塚先輩に丸投げされちゃったんですけど、私にはまだまだ手に負えないなぁって毎日思ってます」
「えっ、そうなんすか?! 深月さん!」と隣で大きな声がするけど、そんなの気にしない様子で花岡さんが言う。
「どうでもいいけど、融資課に迷惑かける前にコーチャー降りるなりしたらどう?
預金課と違ってうちは忙しいんだから、いちいち新入社員のミスに付き合ってあげたりできないし」
ははーって乾いた笑いを浮かべながら、心の中で大きく舌打ちをした。
花岡さんはいつもこうだ。預金より融資の方が仕事ができる、融資の仕事の方が大切、そんな態度でかかってくるから、預金に課を上げて嫌われてるんだと思う。
「まぁ、コーチャーが深月さんじゃねぇ。大崎くんも可哀想なんだけど」
実際、融資の方が紛らわしい処理は多いとは思う。
でも、だからと言って預金の方が仕事が楽だってわけではないし、こっちにだってこっちの苦労はある。
電話にしたって、預金が取る決まりなんてないんだから、花岡さんがとってくれたっていいのに絶対に取らないし。
そういう、積りに積もった苛立ちを感じながらもなんとか呑み込もうとしていた時。
リードを無理やり引きちぎった大崎くんが、バッと勢いよく立ちあがった。