囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~


「なんとなく気乗りしなくてやめた。小田、着やせしてみえるけど結構肉ついてるから、深月ひとりじゃそんな進んでねーかなって思いながら歩いてたら、本当に進んでなくてびびった」

そう笑った及川が、小田くんの腕を自分の首に回させて「よっと」と支え歩き出す。

バランスを崩すまではそれなりに歩けていた小田くんは、今はもう半分夢の中……みたいな状態で足取りもおぼつかない。

さすがに及川ひとりじゃ支えきれないかと思って、小田くんの反対側に回って私も支えようとしたけれど。
途端、及川がため息をついて小田くんを下ろしてしまう。

「ダメだ。タクシー呼ぶか」
「え、ふたりでもダメそう? 私もちゃんと支えれば……」
「んー、一時しのぎはできてもどっちみち駅までは無理だろうから……あ。丁度来た」

及川が小田くんを地面に座らせるから、支えるようにして背中に手を回す。
私がそうしている間に、及川は通りかかったタクシーを止めて、ドアが開いたのを確認してから小田くんを持ち上げて中に寝かせた。

タクシー止めたはいいものの。
小田くんはどう見ても住所言える状態でもないし、ひとりで乗せるのは心配すぎる。

疑うわけじゃないけど、酔ってるお客さんのお財布からお金を抜いちゃう……みたいな事件もたまに耳にするし。

「及川、私、どうせ小田くんちの近くだからこのまま一緒に乗っていっちゃうよ。及川はちょっと方向違うし駅から電車……」
「あー、いいよ。俺も一緒に乗ってく。小田んちついたところで深月ひとりじゃ下ろせないし」
「それはそうだけど……」
「ほら、早く乗れって」

まぁ、小田くんちまで行ったら、そこから及川は駅まで行けばいいわけだし。
小田くんちから駅までは歩いて二十分ちょっとだから……まぁいっか。

及川本人が乗るって言うんだから、私が帰りの心配までする必要ないか、と考えるのを止めて、タクシーに乗り込んで行き先を告げた。



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