囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~
タクシー代は、三人で割り勘……が正しいのかもしれないけれど、小田くんのお財布から二千円を抜いて、残りを及川と私で割った。
小田くんの負担が大きいのは迷惑代と及川が称していて、勝手にそれはどうだろうとは思ったものの、多分小田くんも怒らないだろうと思う。
彼女さんが来ているかもしれないって事だったから、及川に小田くんを部屋まで連れて行ってもらった。
同期の集まりだっていっても、他の女と飲んでたなんていうのはあまり面白くないだろうなぁと思ったからだったんだけど。
及川もその辺わかるのか、何も言わずに小田くんを連れて行ってくれた。
「彼女さん、いた?」
戻ってきた及川に聞くと、「おー」と困り顔で笑うから「なに?」と首を傾げる。
「なんか、お礼に寄っていってくださいってすげー言われた。腕掴んで離してくれないからどうしようかと思った」
「……聞かなきゃよかった」
「いやいや、そういう意味じゃないでしょ」
「及川相手だとそういう意味にしか聞こえないんだもん」
とりあえず、小田くんの彼女がただ純粋にお礼をしたかっただけって事を願いながら「及川、歩いて駅まで行ける?」と聞く。
部屋番号も知ってたし、小田くんちには何度か来た事あるみたいだけど、一応聞くと。
「あー……ちょっと微妙」と、眉を寄せられる。
「じゃあ、駅が見えるくらいまで送ってくよ」
「それだと深月が帰りひとりだろ」
「大丈夫だよ。いつも飲み会の帰りにはひとりで通ってる道だし」
そう笑いながら歩き出すと、及川も隣に並んだ。