囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~


支店からうちの最寄駅までは電車で三駅。

そんな大きい駅でもないし、駅ビルとかがあるわけでもないから、使ってるのは駅周辺の住人くらいだろうし、及川がこのあたりをよく知らないのも無理はなかった。

及川の部屋は確か、支店から五駅離れた場所で、うちの最寄りの駅よりもさらに二駅先だって話を聞いたことがある。

ひとり暮らしらしいけど、家にまで入り込まれたくないって理由で、及川は人を家に呼ばない。

まぁ多分、女の子関係でゴタゴタすると面倒くさいっていうのが、その大半の割合を占めているんだろうっていうのは簡単に想像がつく。

軽くて悪い付き合い方しかしていないのは本人にも自覚があるみたいで、いつか〝ドア開けた途端刺されたくないし〟と笑っていたっけ。

まったく……と呆れ笑いがこぼれるのは、及川に対してなのか、それともそんな及川を好きになった自分に対してなのか。
そんな疑問を、アルコールで少しぼんやりとした頭の中に転がしていると、隣を歩く及川が聞く。

「こないだの決起集会で、元彼との馴れ初め話してたの聞いてたんだけど。痴漢に間違えたってやつ」
「ああ……手塚先輩に掘り返されてたヤツね」
「その時言ってた道って、この道の事?」
「あ、そうそう。痴漢に間違えたのは、もっと駅寄りだけどね」

決起集会では席も確かそんなに離れていなかったし、聞かれてても仕方ないかと思いながら返事をする。



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