囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~


別にどうしても隠したいだとかそういうわけでもなかったし。
付き合っている相手に対して元彼の話なんてするのはデリカシーがないかなとも考えるけど、相手は及川だ。

普通、好きな人相手に元彼の話をするのかは微妙だけど。
私は、及川が好きだっていう気持ち以前に、及川との同期の距離が分かっているから。

これは同期で普通にする会話だと自然と頭が判断を下していた。
それを、なんだかなと、虚しくなったりもするけれど、そういう部分に助けられている事も多いのも分かってる。

同期としての距離感がわからなくなったらきっと、及川に迷惑をかけてしまうから。

なんか……本当に同期なんて好きになると苦しい事ばっかだなと、自嘲の笑みがこぼれた。

「この辺はほとんど住宅街なんだけど、もう少し行くとホテルとかあるの。だから余計過敏になってたのかも。
元彼にしたら、ただ家までの道歩いてただけなのに迷惑な話だよね」

笑いながら言うと、及川は少し黙る。
それから「ホテルってあれ?」と、まだ先にあるネオンを指さした。

「あー、うん。そう。やっぱりこれだけ暗いと目立つよね」

及川の指の先にある、住宅街には似つかわしくないピンク色のネオン。
それを、苦笑いを浮かべながら眺める。

ホテル側も気を使ってなのか、かなり可愛らしい造りにはしているし、周りを囲む塀だって一階部分を覆うほどの高さがある。

料金表も、そこまで主張しているわけでもなく、本当に知らなければオシャレな雑貨屋さんかな?って入っていっちゃいそうな感じだ。


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