囚われロマンス~ツンデレ同期は一途な愛を隠せない~


西洋風のお城みたいな外観のせいで、無邪気な小学生がたまに足を止めてうっとり眺めてたりするんだけど……そんな光景を見る度、なんだか複雑な気持ちになってしまう。

だって私も小さい頃、〝ここ入りたいっ〟って親にせがんだ事があるから。

まったく。何も知らないって怖い。

「俺、その元彼見てないんだけど、店頭に来たんだろ?」
「両替にね。なんか近くの量販店で働いてるとかで。ノルマ大変だって言ってたよ。どこも一緒だね」
「へー。その元彼とも、あのホテル使ったりした?」

ピンクのネオンをぼんやり眺めながらしていた会話がプツリと止まる。

それは、及川から投げかけられた問いが、〝同期の会話〟からはみ出した気がしたからだったんだけど……。

でもそんなの私の考えすぎなのかな、と思い直して笑いながら返事をした。

「まさか。こんな家の近所じゃ、誰に見られてるか分かんないもん」

大丈夫。上手く誤魔化せてる。
動揺してるのを、気付かれていない。

内心、ドキドキとしている心臓にそう言い聞かせて落ち着かせてるのに。

「深月は、元彼が誘ったりしても寝たりすんの?」

及川がぶつけてくる問いかけが、動揺に拍車をかける。

私の気のせいじゃない。
これは……〝同期の会話〟じゃない。

そう確信した途端、カチリと別のスイッチが入り気持ちが切り替わる。

〝同期〟じゃなくて。
及川と過ごしたあの夜に作り上げた、〝嘘つき〟に。


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