その唇に魔法をかけて、
「あ、彩乃ちゃ――」
声を掛けようとした時、彩乃は一瞬顔を曇らせて目を逸らした。そして、まるでそこに誰もいないかのような振る舞いですぐ横を無言で通り過ぎて行ってしまった。
(無視しなくったっていいのに……)
早く立ち去りたい、と言わんばかりに廊下を小股で歩いて行く彩乃の後ろ姿を見ながら、切なくなる気持ちを抑え、担当の漆畑の部屋へ入っていった。
声を掛けようとした時、彩乃は一瞬顔を曇らせて目を逸らした。そして、まるでそこに誰もいないかのような振る舞いですぐ横を無言で通り過ぎて行ってしまった。
(無視しなくったっていいのに……)
早く立ち去りたい、と言わんばかりに廊下を小股で歩いて行く彩乃の後ろ姿を見ながら、切なくなる気持ちを抑え、担当の漆畑の部屋へ入っていった。