恋した責任、取ってください。
「んじゃ、可愛くして来いよ」
「可愛く?」
「その目元。泣いた跡を直してこいって意味」
「ああ、はい」
すっくと立ち上がり、その場を離れていく高浜さんの鳥の巣頭をぼんやり見送ってから、私も徐々に、床にペタンと座っていた体を動かす。
可愛くって言うから今日の服装がダサすぎると言われたのかと思って一瞬ヒヤッとしたけど、そもそもこんな顔じゃ人前には出られない。
ていうか、高浜さん、日本語のチョイスがちょっとおかしい。私が言えた義理じゃないけど。
「とりあえず顔面の状況確認を……」
呟き、お手洗いに向かった。
その後、顔面補正を終え、練習前に少し時間を頂いて清掃イベントの立候補を取ると、案外参加率が高いことに失礼ながら驚いた。
私の勝手な予想では、掃除するだけだしあまり人気がないんじゃないかと思っていたから、ほとんどの選手が参加してくれるとは思ってもおらず、熱心だなぁ、と感動すら覚える。
けれど、それにはどうやら裏があるらしい。
「だから夏休みのバスケ教室はパスね」
「え、」
「アメリカで家族サービスすっから」
高浜さんが早々に夏休み期間に行われる子供向けバスケ教室への参加をパスすると、次々に俺も俺もとパスの声が上がり、はっは~ん、と。
要は、自分たちの夏休み期間中にわざわざ出てきたくないから清掃イベで勘弁してほしいという、オトナの駆け引きがあるらしかった。
バスケ教室も立候補制だし、恵麻さんからもなんとなく話は聞いていたから、驚かないしいいんだけど……いいんだけど、皆さんの下心があからさますぎて、正直、何も言えない。
「じゃあ、ついでに、8月のバスケ教室に参加できる方の立候補も取っていいですか?」
そう言う私の顔は、きっとヒクヒクと引きつっていただろう。……いいです、いいです、5人集まってくれたら、なんとかなりますから。
はあ。