恋した責任、取ってください。
 
ホームページの管理なんていうものは、ここに異動してくるまでプライベートでもやったことはなかったけど、異動になったばかりの頃に佐伯さんと鈴野さんのアシスタントとして仕事をしていた際、基本的なことはできるように指導してもらっていたので、そのときに取ったメモを見返しながら、慎重に作業を進めていく。

挨拶文は過去のイベント時の文面を参考にさせてもらえば問題ないし、日時、場所、雨天決行か否かや、参加メンバーのリストさえ間違えなければ、何時間もかかる作業ではないはずだ。

タイピングの速さには、わりと自信がある。

ダテにけっこうな頻度で弥生が頼んでくるゼミ課題の入力作業を手伝っているわけじゃない。


というわけで、全ての入力を終え、最終チェックとして両隣のデスクの佐伯さんと鈴野さんに確認してもらい、ホームページにイベントの詳細をアップし終えると、時刻はちょうど定時。

大地さんに2回フラれたショックや、佐藤さんが言った“耐性”に気を取られることもあるかと思っていたけど、自分でも驚くほど仕事に集中できていたようで、達成感と満足度が自然と私の気持ちを上向きにさせてくれる。

帰り支度を始める人たちに混じって私も準備を整えると、残業のメンバーに「お先に失礼します」と挨拶をし、チーム・ブルスタを後にした。





それから数時間。

佐藤さんに誘われて今日のもんちゃんの散歩は私が行くことになった、と弥生に断り、数か月ぶりとなる散歩に出かけた私は、相変わらずグイグイ引っ張る可愛い愛犬に散歩させられるという情けないことになりつつも、待ち合わせの児童公園で佐藤さんの到着を待っていた。

無人の公園内でもんちゃんを遊ばせていると、少しして、入り口に人影が現れる。


「夏月さん、すみません、お待たせしました」

「いえ!お疲れ様です」


少々息を弾ませた佐藤さんの到着だ。
 
< 107 / 217 >

この作品をシェア

pagetop