恋した責任、取ってください。
すると、スッと佐藤さんの手が私の顎に添えられ、そのまま端正な顔が近づいてきた。
え……と思う間もなく、すっかり固まってしまった私をよそに、佐藤さんは私の唇に目を落としながらゆっくりと、けれど確実にその距離を縮め、吐息がかかるほどの至近距離まで近づいたところで、鋭い眼差しで私と目を合わせると。
「これの続きができる関係になりたいって意味での、“つき合ってください”です」
声に切なさを滲ませながら、そう言った。
え、もしかしてこれって、私が大地さんに抱いているような気持ちと同じ種類の“好き”や“つき合いたい”っていうこと……なの?
はっ!佐藤さんが好きなのって、私!?
そうなの!? そういうこと!?
でもそうなると、今までの佐藤さんの不思議な言動や行動の数々がストンと腑に落ち、急激に顔に熱が集まってきて全身が熱い。
「ああああのっ、ち、近い……」
「だって夏月さん、全然気づいてくれないんですもん、近くなったって当然です。でも、これでもう分かりましたよね? 好きなんです」
コクコク、僅かに首を縦に振って頷く。
顎に手を添えられたままに加え、キスされそうな至近距離の状態では、身動きなんてほとんど取れないから、どうしてもこうなってしまう。
なんだか壊れかけたおもちゃみたいな動きだ。
それでも、私の返事に満足したらしい佐藤さんは、おもむろに私から顔と手を離し、元の体勢に戻ると、前を向き、スッキリした顔で言う。
「夏月さんが好きなのは大地さんだって分かってます。でも俺だって夏月さんが好きです」
「……」
「後悔してたんですよ、ずっと。同じ会社だって分かる前から接点があって、チャンスなんて掃いて捨てるほどあって。大地さんより2年も早く夏月さんを見つけてたのに、どうして俺はその時間を上手に使えなかったんだろうって」
言うと、佐藤さんは歯を見せてニッと笑う。
ああ、どうしよう、言葉が出ない。