恋した責任、取ってください。
佐藤さんは全部を分かった上で言っているんだろうなと思うと、月並みな表現しかできないけれど、嬉しい気持ちと申し訳ない気持ちが綯い交ぜになって、喉がキュッと締まる。
すると、ふいに弥生の顔が浮かんだ。
あの子、佐藤さんの気持ちを知っているのかな。
今まで全く気づかなかったけど、佐藤さんと弥生はどこまでこういう話をしているのだろうと思うと、出掛けにあの子に言った「佐藤さんに誘われて今日のもんちゃんの散歩は私が行くことになった」という台詞が急に重みのあるものに変わり、執拗に私を責め立てる。
知らなかったとはいえ、妹に何てことを。
ああ、弥生……。
と。
「夏月さん、今は自分のことだけ考えてください。誰に申し訳ないとか、後ろめたいとか、そういうのは邪念というヤツです。本気の告白には本気の気持ちで返すのが礼儀なんですよ。じゃないと誰の気持ちも浮かばれません」
私の心境を見透かしたかの如く佐藤さんが言う。
「そうですよね、そういうもの……ですよね。頭では分かっているんですけど……。すみません、今、思いっきり弥生の顔が浮かんでました」
「そうだろうと思って、言いました」
「たはは……」
恋って難しい。
まるっきりの図星を指されて苦笑いを零しながら、スン、と鼻をすすって上を向く。
ちょっと涙が出ちゃいそうだ。
「大地さんの顔は? 浮かびました?」
「いえ、そういえば全然。佐藤さんの気持ちがその……私にって今さっき知ったばかりで、それにすぐに弥生の顔が浮かんで。正直、大地さんのことを考える余裕がありませんでした」
「あ、それ嬉しい。脈アリですね」
「いや、あの……」
そういう風に捉えられるのも……。
なんて言ったらいいかホトホト困り果ててしまって、ゴニョゴニョと口ごもる。
なんせ告白されるなんていう甘酸っぱいイベントが私の人生に発生するなんて夢にも思っていなかったわけで、全然勝手が分からない……。