恋した責任、取ってください。
 
すると佐藤さんは、人生初のイベントに右往左往している私にフハッと笑うと、言う。


「分かってます、冗談です。でもほんと、大地さんの顔が浮かばなくて嬉しい。俺のことをちゃんと考えてるって証拠ですから」

「……そう、ですか」

「そうですよ。やっと大地さんと同じ土俵に上がれました。2年以上かけて、やっとですよ、やっと。夏月さんに好きな人ができないってどうして悠長に構えていられたんですかね。そんな保証なんてどこにもなかったのに」

「いや、あの、なんだかもう、どう返事をしたらいいのかって感じで……。こういうことが初めてなので、すごく言葉が選びにくいです」


今の何とも言えない気持ちを正直に打ち明けると、佐藤さんは楽しそうにふふっと笑った。


「そうやってしばらく俺のことだけ考えていたらいいですよ。あ、でも、俺が告白したってことは大地さんには秘密にしてて下さいね」

「え、どういうことですか?」


口角を上げ、唇に人差し指を当て、まるでいたずらっ子のような笑顔でニシシと笑っている佐藤さんに思わず聞いてしまった。

秘密にするも何も、きっともう大地さんとは仕事上必要なことしか話せなくなると思う。

自業自得だけど寂しいな……。


「復讐です」


と、そんなときにポンと投下された爆弾発言。

佐藤さんの口から発せられるとは思ってもみなかった聞き慣れない物騒な言葉に、意味を図りかねてしばし口をポカンと開けてしまう。

きっとこっちの“復習”じゃないよね。

うーん、佐藤さんって普段どんな思考回路をしているんだろう、よく分からない……。


「あの、でも、どうして佐藤さんはこんなに私のことを? もんちゃんの躾も十分じゃないですし、服装も顔も、この通り地味じゃないですか。なんでこんなウズラ系がいいんですか?」


佐藤さんの気持ちは嬉しかった。

でも、ここまで真っ直ぐに想ってもらえるようなところが自分にあるとは思えないのだ。
 
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