恋した責任、取ってください。
いまだ顔から手が離せない中、してやったり口調の佐藤さんがちょっぴり憎く思えてくる。
でも、佐藤さんビューだと私は今言ってもらったような印象なわけで、自分には欠点に思えていたことが彼には長所であり好きなところになるという化けっぷりは、まさに恋愛マジックだ。
甘やかしてくれるなぁ、佐藤さん……。
それくらい私のことが好きなんだなぁ。
すごい。
私、初めて男の人に恋愛感情を持ってもらえた。
「……あの、恥ずかしついでに、好きになったキッカケとか聞いちゃってもいいですか?」
「キッカケですか?」
コクリ、頷く。
初めて恋愛感情を持ってもらえた人だ、私のどんなところが佐藤さんにとって恋するキッカケになったのか、やっぱり気になった。
少し風が出てきたようで、顔から手をどける。
この際だから、ちゃんと知りたい。
佐藤さんをじーっと見つめて言葉を待った。
「キッカケはやっぱ、モンですかね。春にも言いましたけど、ずっと罪悪感だったんです」
少し遠い目をして、佐藤さんが語る。
「昔から目つきが悪くて、しかもバスケ優先だったんで、何人かつき合った子はいましたけどフラれて終わることが多くて。口下手だし、怖いともよく言わたもんですから、そのうちバスケだけできればいいやって思うようになっていきました。そんなときに急にモンに飛びつかれて。……相当やさぐれてたんだと思います、あんなキツい言い方をしてしまいました」
「……そうだったんですね」
「ええ。それからです、夏月さんが気になりはじめたのは。あのあとも毎日毎日、同じ時間に散歩させて、俺が近づくとリードを手に巻きつけてモンが暴走しないようにして。でも、よく見ると、夏月さんの手、ちょっと震えてるんですよ。……悪いことをしたな、一言謝りたい、そう思っているうちに、気づけば罪悪感が恋愛感情に変わっていたって感じです」