恋した責任、取ってください。
しみじみとした口調で弥生が言う。
その横顔からは、佐藤さんに対する気持ちに整理がついた雰囲気が漂っているけど……ん?
どうして弥生が佐藤さんに感動なの?
そりゃ、“つき合う”の意味を履き違えた私に、あんなふうにキスの真似事までして教えてくれたわけだし、どれくらい私に本気でいてくれているのかも恥ずかしくて思わず耳を塞ぎたくなるくらいたくさん語ってもらった。
でもそれはまだ弥生には話していないし、私のほうが感動することはあれど、弥生が感動する理由にはならないような気がするのだけど。
すると、頭の上にハテナを浮かべる私を見た弥生が、やれやれという感じで話しはじめる。
「あたしが知る限りでは、お姉ちゃんは少なくとも3人には告白されてる。高校の時に1人、大学の時に2人かな。もっといたかもしれないけど、まあ、それはいいとして、その3人に共通してたのはお姉ちゃんが“ド天然で超絶鈍感”だって分からなかったことと、その程度の気持ちしか持っていなかったことだと思う」
「う、うん」
ド天然で超絶鈍感、って言った辺りの語気の強め方が少し気にならないでもないけど、ここはじっと耳を傾けておくべきだろう。
ちびり、とビールを含み、次を待つ。
「大方、お姉ちゃんは単に“つき合って”ってしか言われなかったでしょ。普通ならそこで恋愛のほうだって察せるし、告白したほうも、もちろん察してくれると思うはずなんだ。ただ、お姉ちゃんはそこで“どこに?”って聞ける破壊力を持ってるわけだよ。そりゃあ、佐藤さんくらい本気の人じゃないと、気持ちを知ってもらう前に挫けちゃってもおかしくないよね」
「だから佐藤さんに感動したと」
「うん。そういうこと」
なるほど、とコクリと頷く。
そういえば高校生の頃、ただ自販機につき合うだけなのにどうしてそんなに緊張しているんだろう、と不思議に思った男の子がいた。