恋した責任、取ってください。
一人、きょとんと目を瞬かせるのは大地さんだ。
春沢さん親子と顔見知りだったとは思っていなかったようで、一通り挨拶が終わると、不思議そうに「知り合いなんだ?」と訊ねてきた。
「あ、はい、そうなんです。6月の植樹イベのときに仲良くなって。悠斗くん、バスケは観るのもやるのも大好きなんだそうで、今日のバスケ教室にもご参加下さったんですよ!」
「へぇ〜、なっちゃんの人柄だね」
「いえ、私はそんな……」
春沢さん親子の前だというのに、私を見下ろす大地さんの眼差しがあまりに優しいものだったので、否が応にも胸がドキドキしてしまう。
いや、だから待て私の心臓、いちいちときめかない修行はどうした!仕事をしなさい!
軽く咳払いをして自分を叱咤し、物珍し気に大地さんを見上げる春沢さん親子に向き直る。
「春沢さん、今日は暑い中お越し頂いてありがとうございます。こちらのゲストカードを首から下げて、どうぞビルの中にお進みください。受付横のエレベーターで地下の体育館まで下りて頂くと他にもでっかい人たちがいますから。今日はいっぱい楽しんでくださいね」
2人にそれぞれ、ゲストカードと教室の内容が書かれたプリントを手渡し、その間にチェックシートの【春沢悠斗】の欄に出席の印をつける。
これから続々、生徒さんが集まるだろう。
さっきまでは緊張で胃が痛かったけど、初めに春沢さん親子に会えてホッとしたのか、今はむしろ、やるぞー!と気迫がみなぎっている。
「ちょっとちょっと~、でっかいって、まさか俺のことだったりするワケ? 仮にもレギュラーよ? もっと他に言い方あるでしょうに」
「え、でも、193cmもあったら、それ以外の言い方なんてそうそう見つからないですよ。なんせ、平均よりかなりビッグサイズですから」
「うわ、平均よりスモールサイズがよく言うわ」
「あはは、ですね。すみません」
大地さんとの掛け合いも、なんだか楽しい。
こういうの、久しぶりだな。