恋した責任、取ってください。
そのときふと、私が大地さんとの関係に求めているのはこういうものなんだな、と思った。
上手く言えないけれど、フラれても、告白自体をなかったことにされても、失われることなく継続される“チーム”としての温かい関係。
言い換えれば、まるで家族のような。
そういう繋がりだけで、もう十分かもしれない。
大地さんが“私”を“私”として見てくれるなら、どんな見方でも構わない。けれど、できることなら、家族の一員のように思ってもらえたら、こんなに幸せな失恋の仕方はないように思う。
……例えば、いつも兄を応援する妹のように。
春沢さん親子が体育館に向かう姿を見送り、目を細めながらどこまでも晴れ渡った真夏の空を見上げると、不思議と心がすーっと軽くなる。
そのまま大地さんのほうを振り仰ぎ、笑顔を浮かべた私は、ん?と首を傾げる彼にさらに歯を見せて笑うと、思いっきり伸びをしながら言う。
「あはっ、なんか元気になってきました」
「えー、なんだよそれ。さっきまでド緊張してたくせに、悠斗くんに会えたら途端に元気になるって、なっちゃん、どんだけ現金よ」
「だってあの子、私の天使ですから」
言うと、大地さんは少しだけ目を瞠った。
けれどすぐに目元をふにゃりとさせると、私の頭にポンと、大きくて分厚くて、思わず手を伸ばして触れたくなってしまう熱いくらいの手を乗せて「ははっ」と声を出して笑う。
「でも、確かにね。あんなに可愛い子に懐かれたら、誰だって天使に見えちゃうわ」
「ですよね」
失恋は確かに辛かった。
それでも、その先に大地さんとの新しい関係を作ることができたなら、きっとこの恋は無駄なんかじゃなかったと胸を張れる気がする。
佐藤さんとの関係もそうだ。
灯台下暗しなんて、やっぱりいけない。
今決めた。
私は今から、前だけ見て進もう--。