恋した責任、取ってください。
何だこれ、恐怖以外の何物でもないじゃないかこんなのっ!高所恐怖症になっちゃいます!
ボールを手に持たされ、2メートル以上の高さに持ち上げられた私は既にパニック状態で、自分の意志に反して体がカチコチに固まる。
それを見かねた大地さんが困ったように笑う。
「こらこら、固くならないの。絶対落としたりしないから緩~く構えてシュートして」
「いやいやいやいやっ、下ろして下さい~……」
「シュートするまでは下ろせないかな~。あ、ヤバい、腕がプルプルしてきた。落としそう」
「うそっ!?」
そして、冗談なのか本当なのか、私の体を支える二本の腕をプルプルとさせ、そう脅す。
最近、バスケ教室の準備で胃を痛めることが多かったから少し体重が落ちたような気がしていたけれど、やっぱり私、重いのかもしれない。
けっこうやけ食いしてたもんな。
って、違う違う。
やいやいと囃し立てる子供達の声を耳に入れながら、一人、羨望の眼差しで私を応援する悠斗くんの熱視線を受けて考えること、数秒。
「分かりました~……やります~……」
「やーっとやる気になったな~、スモールサイズめ。どれ、今だシュート!」
「はい〜……」
--ぽすっ。
そうして私は、半べそを掻きながら人生で初めてダンクシュートもどきを決められたのだった。
ダムダムとボールが弾む音と、子供たちがパラパラと拍手してくれる音が体育館に響く。
うう、とんだ茶番だ……。恥ずかしすぎる。
しかし、私の悲劇はまだまだ続く。
「ほ〜ら、たかい、たか〜い」
「……ふ、不愉快です」
直後、腕のプルプルはどうしたのー!?と思わずツッコまざるを得ないくらい、私を高々と持ち上げた大地さんは、あろうことか公衆の面前でパパ発言をし、場内をどっと沸かせる。
逆に私は、初めて大地さんを見下ろしながら、羞恥にまみれて真っ赤になっているだろう顔で頬をぶっくりと膨らませ、全く迫力のない精いっぱいの抗議の台詞を吐いたのだった。