恋した責任、取ってください。
 
全員の視線が一気に集中し、恐れ多くもたくさんの拍手を浴びてしまう私は、体中を火照らせながらぎこちなく笑顔を返すだけで、内心では場違いにも程があるーっ!と、一躍脚光を浴びてしまったことにとても申し訳なく思う。

バスケ教室の準備も、当日の進行も、サポートも全て“私の仕事”なわけで、それだって気が回らず至らない点が多々あっただろう。

それなのに、ただの裏方の私にまでスポットライトを当ててあげようと、こんな突飛な行動に出る大地さんには、やっぱり適わない。


「あ、ありがとうございます……っ!」


それでも嬉しい気持ちには勝てなくて、ガバリと腰を折るとお礼の言葉を述べてしまう私の目には、うるうると嬉し涙が滲んでいる。

拍手が止み、顔を上げれば、ニコニコと笑っている大地さんと少しだけ目が合って、頑張って引っ込めたはずの涙がぶり返してしまう。

本当にこの人は……。いいお兄さんすぎて困る。





「今日は本当にありがとうございました。ほら、悠斗もちゃんと夏月さんにお礼言いなさい」

「なっちゃん、ありがとう!すっごく楽しかった!今度は試合の応援に行くからね!」

「ふふ、うん、待ってるよ」


指きりげんまんという何とも子供らしく可愛らしい約束を交わし、一番最後に帰っていく春沢さん親子の姿を手を振りながら見送る。

西日の割合が多くなってきた外は、それでもまだ十分に暑く、ただ手を振るだけだというのに体にじっとりと汗をかいてしまった。


「さて、あともうひと踏ん張り」


額に滲んだ汗を手の甲で押さえ、踵を返すと、後片付けのために小走りで体育館に戻る。

体育館ではすでに5人のコーチたちがめいめいに後片付けを進めていて、その作業中の話題はもっぱら今日のバスケ教室だ。


「お、見送り終わったんだ、ちっこいお姉ちゃんのウズラちゃん。……プッ。見事なダンク」

「……ザキさん、それやめてください……」
 
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