恋した責任、取ってください。
 
けれど、ザキさんだけはこの通り。

体育館に戻ってきた私を見つけるなり、ニマニマと顔を綻ばせながらちょっかいを出してくる。

まったくもう、子どもだよザキさん。ちっこくてウズラなら見つけるのも大変でしょうに、無理して見つけてもらわなくて大丈夫ですって。

でも、気持ちは分かる。

“ダンクもどき”なんっていう、ザキさんにとっては格好のイジりネタを目の前で披露され、その上バスケ教室の間中イジりたい欲求を抑圧されていたんだから、子どもたちが帰るのがさぞかし待ち遠しかったことだろうと思う。


「俺もダンクさせてやろうか?」

「……いえ、一回で満足ですから」

「うひゃひゃ!怖かったんだろー!」

「う、そーですよ」


ただこの人は、自分が満足するまでイジり倒さなければ気が済まないので、それにつき合うのがけっこう大変だったり……ていうか、ちょっと高浜さん化してきているんじゃない?

なんなんだろう、今日はそういう気分なの?


「でもまあ、あそこが俺らが戦ってる場所だからね。ウズラも一度体験してみて良かったんじゃない? すっげー怖がってたけど」

「そうですね。目の前のゴールが思った以上に小さくてびっくりしました。皆さんが戦ってる場所を私も体験できて良かったです」

「うん。そこを制した者が最強だ」

「ですね」


だけど、こんな風にいいことも言うからイジられたことも水に流せちゃうのがザキさんのニクいところで、無条件に格好いいと思わされちゃうのもまた然り、といったところだ。

バスケは魅せるスポーツでもあると私は思う。

そこまでの道筋を描くのがザキさんのポイントガードというポジションで、彼がいなければ、どんなに優秀なシューターを要したメンバーで構成されたチームでも、上手く機能しない。 
 
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