恋した責任、取ってください。
 
分かる。恋愛若葉マークでも分かるぞ。

本人は至って自分に素直に思ったままを言っているつもりでも、それは女子にとっては普通に胸キュンしてしまう台詞で、でも岬さんはうっかり惚れられていても全く気づかないんだ。

なんて悪い男!

おそらく軽いわけじゃないんだろうけど、きっとこの無自覚な胸キュン発言に泣かされた女の子は大勢いるんじゃないだろうか。

なんてったって、顔面が見目麗しい。

一目惚れしちゃったよ私、どうしたらいいの!?


「ははっ。でし!って普通に面白いわ。さすがなっちゃんだ、いちいち期待を裏切らないね。じゃあ、仕方ないから大地さんでいいよ」

「う、ありがとうございます……」


どこがどう仕方ないのか果てしなく謎だけど、とりあえずお礼を述べてみる。

その基準は、大地さんしか分からない。


「ほんじゃあ、まあ、今日は一通り練習見ていってよ。もうすぐ皆集まってくるから」

「はあ……」


大地さんってば、一番乗りで体育館に来ているなんて、バスケバカな感じが可愛いぞ。

でも、それならどうして引退だなんて?

いやいや、直接聞いたわけじゃないから断言はできないけど、それでもやっぱり、今朝のあの話はそういうことに思えてならないから、どうしても切ない気持ちになってしまう。

すると、体育館に入りかけていた大地さんが急に足を止め、くるりと私に振り向いた。


「胃は、あっためるといいから」


そう言うより早く、私の胃の辺りに自分の大きくてぶ厚く、熱いくらいの手をヒタと当てる。


「……!?」

「あんまり胃薬に頼るのは良くないよ?」


かあぁぁっと全身から放熱する私をよそに、大地さんはまるで子供に言い聞かせるような口調で言い、何が良しなのか「良し」と満足げに笑うと今度こそ体育館に入っていった。

無自覚タラシな上にこっちの心臓に悪いスキンシップまで無自覚にしてくるとか!

そういうの、ほんとやめて下さい……。
 
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