恋した責任、取ってください。
家族のように温かいチームの一員としてブルスタのみんなをサポートできたら、こんなに幸せなことはない。
佐藤さんだって、大事な家族。
だから、彼からの告白を中途半端なままにしておくなんて、やっぱり私にはできそうにない。
「あの、佐藤さんに折り入ってお話があります」
覚悟を決めてそう言ったのは、電車に一時間揺られ、いつものあの児童公園に差しかかったあたりだった。
それまで並んで歩いていた私が急に止まったことに少し驚いたように数歩先で足を止めてこちらを振り向いた佐藤さんは、その瞬間、全てを悟ったような目をして静かに一度、頷く。
夏の虫がそこかしこから鳴く声がする中、緊張や申し訳なさや罪悪感が相まって、自分の心臓の音が体の内側からやけに大きな音で響いてくる。
でも、言わないと。
今、言わないと。
通勤バッグの持ち手に力を込めて、佐藤さんのその、切なげに揺れるフローズンアイを見つめる。
「佐藤さんのことは好きです。でも私は、もう前だけ見て進もうって決めたんです」
「……それは、灯台下暗しにはなれないってことですよね」
「はい。これが私なりに精一杯考えて出した結論です。それに、気づいちゃったんです、私。チームの一員としてブルスタのみんなをサポートするのが、私にとってすごく特別で幸せなことだって。佐藤さんの気持ちは、本当に身に余るほどで、想われる幸せを初めて教えてもらいました。……だから、ありがとうございます」
震えるな、声。
そう自分に言い聞かせながら、視線を外さずじっと私を見つめる佐藤さんを見つめ返し、頭を下げる。
全部を分かって想いを告げてくれた佐藤さんに甘えるな。
零れ落ちそうになる涙を必死でこらえながら、さらに自分に言い聞かせる。
「これからとっても残酷なことを言います」
「……はい」
「佐藤さんとはお付き合いできません。ごめんなさい」