恋した責任、取ってください。
言い終わった瞬間、たまらず細く湿った溜め息が口からこぼれていった。
頭を下げたままだから佐藤さんの表情は窺い知ることはできないけれど、私たちの間を取り巻いていた重苦しい空気がさらに一段、重くなったことだけはわかる。
自分からこんな息の詰まる空気にしておきながら本当に自分勝手だなと思う。
でも、いろんな気持ちが綯い交ぜになって涙がこぼれそうで、なかなか顔が上げられなかった。
「……お願いですから頭を上げてください」
すると、佐藤さんが懇願するように呟いた。
全部わかっていて告白したんですから結果はわかっていました、だからどうか気に病まないでください、というような声色は、けれどその瞬間、唇を噛みしめてこらえていた私の涙を容赦なく解き放つ。
アスファルトにぽたぽたと染み込んでいくそれは、けれど夜の暗がりの中では少しも見えない。
「ごめんなさい、本当に……」
「いいんです。何度も言ってますけど、わかってましたから。それに、夏月さんの気持ちが聞けてスッキリしました」
「……はい」
「ただ、夏月さんを必要以上に思い悩ませてしまったんじゃないかって、それだけが心配で。恵麻さんのこともありましたし、弥生さんのこともありました。黙って身を引くのが誰にも迷惑をかけない方法なんだって頭ではわかっていたんですけど、どうしても夏月さんに俺の気持ちを知ってもらいたくて……」
「っ! そんなこと言わないでください! 佐藤さんは、佐藤さんは……」
はは、と自嘲じみた笑い声をもらした佐藤さんに、たまらず顔を上げて抗議する。
私が言えた義理ではないけれど、初めて告白してもらってすごく嬉しかったし、ドキドキもした。
弥生のこともあったし、恵麻さんが抜けて忙しくなったりもしたけど、思い悩んだり、まして佐藤さんの気持ちを迷惑だと思ったことなんてあるわけがない。