恋した責任、取ってください。
「でも岬さん、今日もスタメンっぽいよ? 調子を落としてる選手をわざわざ試合に出さなきゃならないほど、ブルスタって選手層薄かったっけ?」
「ううん、薄くはないよ。ただ、大地さんには何がなんでも試合に出てもらわなきゃならないから。それが今年のチームの暗黙の掟で、それは大地さんもよくわかってる」
「え、なにそれ、どういうこと? なんでそんな、本人了承済みの公開処刑みたいなこと……」
「ファイヤー・ホーネットはブルスタの因縁のライバルなの。その中に3年ぶりに復帰した選手がいるんだけど、その人と大地さん、何かあるっぽくて。詳しくはわからないけど、私が配属になったときにはもう、大地さん本人から引退の申し出があったみたいで、恵麻さんたちが必死で止めてたの。それくらい、大地さんにとっては大きい相手みたい」
選手紹介のアナウンスが続く中、すでにチームジャージを脱いでユニホーム姿になっているのだろう大地さんを見つけたらしい弥生に、かいつまんで事情を説明する。
私にも本当にそれ以上はわからないから、これ以上説明のしようがないのが申し訳ない。
「何かって、なんだろ……」
「……チームの誰も話したがらないから。きっと、相当のものがあるんだよ。だから私は、そんな大地さんに対して自分にできることがなくて落ち込んでるの。もしまた振られるようなことになれば3回目だし、さすがにそこまで振られる覚悟も度胸もなくて。自分にできることならなんだってしたいのに、自分の保身ばっかりでほんと情けないんだよ、私……」
「……お姉ちゃん」
大地さんは今、どんな顔をしているんだろうか。
なんとも言えない顔で言葉を詰まらせる弥生に薄く笑ってコートに目を落とすけど、目にはまだ水分の膜が張ったままで、大地さんの表情はよく見えなかった。