恋した責任、取ってください。
 
肺から中の空気を全部吐き出すようにして言う大地さんは、まるで何かに安心しているようだった。

佐藤さんが言うには、大地さんは私たちがどうなっているか気にしているみたいだということだけど……この長いため息の意味するところは、いったい何なんだろう。

でも。


「……ごめん。俺のこと、見ないでくれる?」

「え?」

「ちょっと今、どういう顔をしたらいいかわかんない……」


その台詞と、言いながら口元を手で隠して顔を背ける大地さんの様子に、期待はしないつもりでいても否が応にも胸がトクンと鳴って。

奥のほうがキュンと甘く締めつけられて。

大事な話の最中なのに、私たちの周りの空間に色がついたような、なんだかとても不思議な空気になってしまった。


これはもしかして、佐藤さんの言った通りなんじゃ……?

ふと、そんな考えが頭の隅をかすめる。

佐藤さんと私がどうなっているかずっと気になっていた様子だし、大地さんの調子が今一つ上がってこない原因のひとつが私だというのも、あながち間違いじゃないのかもしれない。

でも〝なっちゃんには話さなきゃいけないって、ずっと前から思ってたはずなんだけどな〟と言われて、ふたりで食事に来たわけだけど、2回振っているんだから、大地さんは私のことは好きではないんだよね?

思わぬ形で『これから大地さんが浮上してくるかどうかは夏月さんにかかってると思うんですよ』なんていう、佐藤さんからの若干意味不明気味で無茶なミッションもクリアできたことにはできたけど。

じゃあこの、一見すると嬉しそうに見えるのは、いったいどういう……。


「だ、大地さん……?」

「なっちゃんごめん。待って。まだ待って」

「……は、はあ」


声をかけると、もう片方の手をずいっと出して顔が見えないように制され、意味もよくわからないまま、とりあえず頷く。
 
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