恋した責任、取ってください。
大将さんのその無言の気遣いに、そちらに向けて頭を下げると、やっぱりややぶっきらぼうな仕草でわずかに首を振られ、思わず口元が緩んだ。
ああ、大将さんも同じなんだ。
大地さんのことも葛城さんのことも好きだから、今は仲違いしてしまっているふたりのことがずっと心配で、どうにかしてあげられないものかって。
直接言葉にはしない寡黙な人だけど、きっとそんなふうに思いながら、もどかしい3年を過ごしてきて、そして今でも……。
「……ごめん、大将。ありがとうございます」
「今日は客足が鈍いから店を開けててもしょうがないだけです。そのぶん大地に飲んでもらうことになってるんで、泣いて頼んでも店から一歩も出しませんよ」
「ふは、そっか」
大将さんの切り返しに、テーブルの上で体を丸めていた大地さんがそのまま少し吹き出す。
そんなふたりの会話を聞きながら、大地さんがこのお店を選んだ理由に今さらながら納得して、温かいものがじんわりと胸の中に染み入っていった。
最後の最後で一生の親友を裏切ってしまった大地さんと、その親友である葛城さんと。
ふたりを見守りながらこの場所で変わらず出迎え続けた大将さんがいなかったら、大地さんも葛城さんも、もしかしたらもうとっくにバスケをやめていたかもしれないな、なんて。
ふとそう思い至って、大将さんがいてくれてよかったと改めて心から思う。
私の知らない大地さんを見てきたんだなと思うと妬けないこともないけれど、でも。
だからこそ私は、今の大地さんに出会えて、今の大地さんに初めての恋ができて、こうして今の大地さんの一番弱い部分に触れさせてもらえているんだと思うから。
「大地さん、もう泣いてください。ここには大地さんのことが好きな人しかいません。今さら嫌いになんてなりようがないんです。だから、楽になるまで全部吐き出していいんですよ。私、全部受け止めますから」