恋した責任、取ってください。
けれど、いつもならどんな御用を言いつけられるのかと考えただけでシクシクと胃が痛むはずが、今日はびっくりするほど調子がいい。
大地さんが手で温めてくれたからだろうか、彼の手が触れた部分がいつまでもホカホカと温かく、お腹の底から力がみなぎっていた。
*
「うわっ!」
練習後の後片付けを手伝い、チーム・ブルスタに少し顔を出してから帰宅すると、玄関ドアを開けた途端、黒いものが飛びついてきた。
ちぎんばかりに尻尾を振り、全身でおかえりと表現しているのは、愛犬のチワ左右衛門だ。
黒のロングコートチワワのオス、2歳で、大学入学後少しして妹の弥生が知人から譲り受けてきた、ウチの可愛い家族の一員である。
「チワもん、弥生は?」
ベロベロと顔を舐め回してくるチワ左右衛門、略してチワもん、またはもんちゃんをひょいと抱きかかえ、とりあえず「弥生ー?」と名前を呼びながらリビングに向かう。
弥生と私が住んでいるマンションは、2年前の春に住人の希望によってペット可のマンションになったので、それはまあいいんだけど。
『絶対ちゃんとお世話するから!』とあんなに宣言していた弥生よりチワもんが私に懐いているって、一体どういうことなんだろう。
「……今日はご飯いらないって、また合コン」
テーブルの上のメモを見て、激しく落胆。
結局お母さんが世話をすることになっちゃうというヤツで、サークルの飲み会や合コンにパワフルに参加している弥生は、チワもんにご飯をあげるだけという簡単なお世話しかしない。
トイレとかお風呂とか散歩とか、面倒なことは全部私に押し付けちゃってさあ……。
「もんちゃんだけだよ、私の苦労を分かってくれるのは。さ、お皿のお水換えようね」
クゥンと甘えた声で鳴くもんちゃんに笑いかけると、弥生が換えてくれているか怪しいもんちゃんのお皿の水を取り替えてあげた。