恋した責任、取ってください。
 
大地さんに見つけられない答えを私が見つけられるはずもなく、手の甲にはらりと落ちてきた温かな大地さんの涙に、私はいつまでも言葉を詰まらせることしかできなかった。





「すっかり長話しちゃってごめんね。もう遅いし、送らせてくれる?」

「……はい」


それからしばらくして、これまでのことを打ち明けて幾分すっきりした顔をした大地さんと店を出ることにした。

もたもたとコートを着ているうちにお会計を済まされてしまったので、並んで駅に向かいながら鞄からお財布を取り出そうとする。

すると「こら、女の子は財布の紐を固くしておかないと悪い男に引っかかるよ」なんていう声が横から降ってきて、顔を上げると「大人しくご馳走になっててよ」と苦笑されてしまった。


「でも……」

「いいの、いいの。自分で稼いだお金を何にどう使おうが俺の自由でしょ? でも、どうしてもなっちゃんの気が治まらないっていうなら、そのうち違う形で返してくれたらいいよ。なっちゃんだって自分で稼いだお金を何にどう使おうと自由なんだから。ゆっくり考えてくれればいい」

「そ、そういうものですか?」

「そういうものです」

「はあ……。じゃあ、遠慮なくご馳走になりますね」

「うん、そうしてちょうだい」


きっぱり断言されると妙に腑に落ちるのはどうしてだろう。

こんなふうに男の人にご馳走になる機会がなかなかなかった私には、大地さんが持ち出した持論が一般的なものなのかどうかわからないけど、不覚にも異論はないものだから、素直に従っておくしかない。


「ていうか、この時間になると、けっこう寒いね」

「鼻の頭がちょっとジンジンしますね」

「俺は耳かな。ピリピリ痛い感じがする」


現在時刻は午後9時半。

10月も下旬に差しかかり、少しずつ冬の気配が色濃くなりはじめている。
 
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