恋した責任、取ってください。
 
次に葛城さん擁するホーネットとの試合が組まれているのは、順調に日程が消化されれば、7週間後の12月10日前後。

東リーグ7チームで総当たり戦を繰り返すので、二巡目に入った中盤だ。

その頃には今よりずっと寒くなっているだろうし、恵麻さんのお腹もずいぶん大きくなっていることだろう。

今でさえだいぶお腹がふっくらしてきたのに、これからもっと大きくなるんだと思うと、なんだか生命の神秘に直面しているような気がして、妙に感慨深い気持ちになる。


できれば、その頃までには大地さんの調子をなんとか上向きに持っていけたらいいんだけど、私に話してくれたからといって、そんなにすぐにはどうこうなるものでもないように思う。

いくら半分こしたつもりでいても、今、大地さんの顔がすっきりしていても、ホーネット戦が近づけばどうなるかは、きっと誰にもわからない。

ただわかるのは、大地さんがどんな状態であっても私は絶対に彼を好きなままで、それまでに私にできることが見つからないままだったとしても、その気持ちはもう揺るがないということだけだ。


この人の強いところも弱いところも、格好いいところも格好悪いところも、全部全部、私だけのものにしたい――。

大地さんを胸に抱きながら、そんな怖いくらいの独占欲が自分にあったことに驚いて、改めて〝初恋〟という人生でたった一度だけの恋の魔力みたいなものに心の中で屈服した。


こうなったら、もう何度でも当たって砕けるしかない。

3日前まではもう一度気持ちを伝えることが怖かったけれど、そんなのもうどうでもいいし、2度振り払われたその手にまた性懲りもなく手を伸ばしてみてもいいのなら、とことん伸ばしてみたい。


一緒に駅の改札をくぐりながら、電車に揺られながら。

電車を降りて街灯の下を歩きながら、夏の始まりに玉砕した児童公園の近くに差しかかりながら。

私の頭の中を占めていたのは、そんな思いばかりだった。
 
< 182 / 217 >

この作品をシェア

pagetop