恋した責任、取ってください。
ひとつ聞きたかったことを尋ねると、ペットボトルから立ち上る湯気に目を落としながら、大地さんが嚙みしめるように答えた。
ゆらゆらと所在なさげに立つそばから消える湯気の心許なさは、ともすれば、これまでの大地さんの3年間のようで、見ていて切ない。
覚束ない足元でずっと気を保ちながら踏ん張り続けてきただろうこれまでが容易く想像できるだけに、たぶん私には、どこまでいっても芯からは理解できることではないだろうという気もして、胸の奥に痛みが広がる。
……本当の意味ではやっぱり、私にできることなんてないんだろう。
ブルスタチームのみんながあえて大地さんを矢面に立たせて復活を後押ししているように、きっとそれが一番正しい方法で、唯一の方法なんだと思う。
でも、もしも、大地さんの一番弱い部分に触れさせてもらった私にできることがあるとするなら。
「じゃあ、その間、大地さんにとってバスケや一緒にプレーする皆さんはどういう存在でした?」
「どうって?」
「思うままに答えてくれればいいんです。ただ思うままに答えてもらえれば、それで」
「……、……正直に言うと、謝罪や恨んでほしい気持ちだけじゃなかったよ。勝ったら嬉しかったし、負ければ悔しかった。やっぱりバスケが好きで好きで、一緒に戦うチームのみんなが誇りで。本当はこんなこと思っちゃいけないって思いながらも、それも現役を続ける理由になってた」
大地さんの握力に負けて、ペットボトルがミシリと鳴る。
そのまま、さらに大地さんは続ける。
「それだけじゃないよ。春に引退するだのしないだのって騒いでたとき、何も知らないなっちゃんが俺が引退しようとしてる理由がけがじゃないってわかって安心してくれたことがあったでしょう。葛城が復帰するって聞いて、俺にはもうバスケを続ける理由がなくなったって思ってたんだけど、本当にそれで現役を続けてもいいんだって許してもらえたような気がしたんだ」