恋した責任、取ってください。
ぐっと握った拳にたぎる姉妹愛を宿し、弥生がそれはもう厳めしい顔をする。
その顔と拳に思わず吹き出して笑ってしまうと、案の定、気分を害した弥生に「なんで笑うのよ!」と怒られてしまった。
「ごめんごめん。なんかもう、弥生が可愛すぎて、その気持ちだけで嬉しくて」
「なによ、もう! こっちは本気で乗り込む気満々だっていうのに! あーもう、お姉ちゃんってほんっとアホ。こうなったらもう、せいぜいそうやって生殺し状態を味わっていればいいわ! またダメだってことは万に一つもないと思うけどっ!」
「えー……?」
そしてなぜか半ギレされるというオチがつく。
その後弥生は、もんちゃんを抱えて「岬さんも岬さんだけど、お姉ちゃんもお姉ちゃんよ」とかなんとかブツブツ言いながら私の部屋を出ていってしまって。
少しすると、チャッカチャッカと軽快な音をさせてもんちゃんが爪でフローリングを掻きながらやってきて、部屋に招き入れると、早く寝るぞモタモタすんなとベッドの上で待機されてしまった。
やれやれ、弥生ももんちゃんも可愛いヤツめ……。
ふたりの愛が可愛すぎる、とふっと息をもらし、部屋着に着替えて簡単にメイクを落とす。
なんだかんだと話し込んでいるうちに時計の針はとうに11時を過ぎてしまったので――というか、私が勝手に大地さんを引き留めてしまったんだけれど――今夜はもう寝て、お風呂は明日の朝に軽くシャワーで済まそうと思う。
まだかまだかとヤキモキしながら待つもんちゃんの頭をひと撫でし、目覚まし時計とスマホのアラームをいつもより1時間早くセットして布団に潜りこむ。
「……ん?」
と、枕の隣に置いている電気のリモコンを押そうとして、普段は付けていないもんちゃんの首に首輪がしてあることに気づいて首をかしげた。