恋した責任、取ってください。
 
よくよく確かめてみると首輪には紙が結ばれていて、ふと〝伝書犬〟という造語が頭の中をちらつく。

紙を外して開いてみれば、やっぱりそれは弥生からのメッセージで。


【大丈夫。きっと全部大丈夫だから。
   追伸:初エッチのときの下着、あたしが見立ててあげるね】


「ややや弥生っ……!」


なんとも頼もしい励ましと、それを見事に破壊する追伸の内容に、私はしばらく、ひとり頬を熱くさせるしかなかった。

いくらなんでも気が早すぎだよ、弥生……。

でも、弥生らしくてお姉ちゃん好きだな、ありがとうね。





そうして、なんだか妙に体が熱いまま夜が過ぎ、それとともに日々も過ぎていった。

サポートチームの仕事に毎週行われる熱いリーグ戦、弥生が通う大学の学祭にちょこっと顔を出したりと忙しい毎日を無我夢中で過ごしているうちに、ふと気づけはカレンダーは12月に突入していて、大地さんからの返事を待つ日々もまた、続いている。

すっかり葉が落ちて丸裸になった街路樹や道行く人たちの装い、吐く息の白さやかじかむ指先を見ると、もう冬なんだなと当たり前のことを思って、あんたも冬仕様になっているでしょ、と自分に自分でツッコミを入れる。


――あれから6週間と少し。

今日は金曜日で、明日からはまた、葛城さん擁するホーネットとの2連戦が、ブルスタがホームにしている近郊の体育館で催されることになっている。


大地さんからの連絡は、今のところない。

ただ、試合以外にも忙しくしているようで、勘のいいザキさんや佐藤さん、それにチーム創設時から苦楽をともにしてきた高浜さんや恵麻さんにコーチなどは、大地さんが何に忙しくしているのかわかっているようで。
 
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