恋した責任、取ってください。
「寂しいだろうけど、ここは我慢だぞ、ウズラ。大地のこと、もうちょっと待っててやって」
「エンジン全開の大地さんはめちゃくちゃ格好いいですから。惚れ直す準備をして待っててくださいね」
などなど、この6週間あまり、会うと必ず大地さんの話題を持ち出され、みんな訳知り顔で私のことを励ましてくれている。
うう、ありがたいけど恥ずかしい……。
試合結果のほうは、徐々に調子を取り戻してきた大地さんの活躍がチームに追い風となって連勝が増え、連敗は一巡目にホーネットと戦ったとき以来、していない。
それでも現時点でのリーグ内順位は4位と思うように浮上できずにいて、反対にホーネットは勢いが止まらず首位を走っている、という状況だ。
そんな中、植樹イベントをきっかけに仲良くなった春沢さん親子が土曜日の1戦目に観戦に来てくれることになり、悠斗くんは、お母さんと一緒に応援グッズを作ったことと、なによりまた私に会えることを楽しみにしているというメールが、ブルスタホームページのメールボックスに届いた。
私用に使っちゃいけないなと思いつつ、あまりに天使な悠斗くんにメッセージを送りたい気持ちに負け、送信アドレスに【今、先々週の2戦目から3連勝中だから、もっと連勝できるように悠斗くんもたくさん応援してね!】と返信すると、ちょうど退勤時間だった。
「お先に失礼します」とパラパラと帰っていくサポートチームの人たちに「お疲れ様です」と声をかけながら、私もパソコンの電源を落として足に掛けていたブランケットを畳みはじめる。
「あ、メッセージ……」
それに気づいたのは、会社を出てからだった。
今からなら何分発の電車に乗れるだろうと時間を確かめたくて鞄から取り出したスマホに、メッセージの受信を知らせる緑色のランプがピコピコと光っている。