恋した責任、取ってください。
きょとんと首をかしげる仕草があまりに可愛すぎて思わず笑ってしまうと、悠斗くんが面白くなさそうに唇を尖らせる。
それもまた可愛いなと目尻を下げつつ、私は確信をもって断言する。
「いつかわかるよ。とりあえず今、悠斗くんにわかっていてほしいことは、今日も含めてこれからの大地さんは、ずっとずっとエンジン全開だってことだよ」
*
そう断言したとおり、ジャンプボールで競り勝った大地さんは、この前のホーネット戦とは打って変わって攻守に冴えわたるプレーを続出した。
ゴール下に攻め込まれれば、その大きくて頑丈な体躯を活かしてディフェンスし、そう簡単にはゴールリングを揺らさせない。
攻撃に転じれば、ディフェンスをこじ開けて自らシュートを打つこともあれば、シュートすると見せかけてゴールゾーンの外で待つ佐藤さんに寸分狂わぬパスを出し、会場をどよめかせる。
高浜さん、ザキさん、ルイネエとの連携も抜群で、前半戦の第2クォーター終了時には、あれだけ勢いの止まらなかったホーネットに得点らしい得点を与えず大差で突き放すという、圧巻の展開を見せることになっていた。
「今日の岬さん、やばいね。佐藤さんより惚れそうなんだけど。てか、もう振られてるし、乗り換えちゃってもいい?」
第3クォーター開始までのハーフタイム中、そう言いながら弥生が家族席に顔を出す。
悠斗くんはちょうど、お母さんに連れられてトイレへ行っていたので、ここには私ひとり。
ただ両チームのチアリーディング部が軽快な音楽に合わせて華麗に宙を舞う姿を眺めていただけだったので、特に誰に聞かれて困る話でもないんだけれど。
「ちょっ、本気で言ってるんじゃないよね……?」
「さあ、どうでしょう」
「ダ、ダメっ!」
ここはきっちり牽制しておかなければならない。