恋した責任、取ってください。
 
その後、佐藤さんがもんちゃんと走ってくれると言うので、彼に愛犬とお散歩バッグを預け、私はのんびり夜道を歩くことにした。

待ち合わせの児童公園までは数百メートル。

だけど、ここら一帯は昔ながらの住民が多く、外灯もバッチリ明るいので、一人で歩いていても特に危険というわけではないのが安心だ。

そもそも、私に襲いたくなる要素は皆無。

夜に犬の散歩をさせているお仲間さんも多いから、難なく児童公園までたどり着く。


「お待たせしました、佐藤さん」


先に着いて、外灯の明かりの中をもんちゃんと駆けっこで遊んでいる佐藤さんに声をかける。

元から人が大好きなもんちゃん。

自分の運動能力に見合うだけの素敵な遊び相手が現れ、いつになくテンション高めのウチの愛犬は、私に気づいて自分を抱きかかえようとしゃがんだ佐藤さんの大きな体を「うおっ!」と尻餅をつかせるほどに押し倒した。


「もんちゃん!」


慌てて駆けつけ、リードを引くけど、もんちゃんはもう、楽しすぎて我を忘れている。

よっぽど佐藤さんがお気に入りなのか頑として離れようとはしてれくず、しつけも行き届いていないという羞恥にまみれた私は半ベソだ。

けれど佐藤さんは別段気にしたふうでもなく、ただもんちゃんの熱烈すぎる愛情表現を嬉しそうに受け入れてくれて、また一つ、フローズンアイの彼のイメージがいい意味で覆された。


もんちゃんが一向に離れてくれないので、仕方なく佐藤さんに預け、休憩がてらベンチに座る。

公園の入り口付近にある自販機で買っておいたミネラルウォーターのペットボトルを「遊んでもらったお礼です」と差し出すと、佐藤さんは「せっかくなんで遠慮なく」と快く受け取り、あっという間に半分ほど喉に流し込んだ。
 
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