恋した責任、取ってください。
それから少し、お互いに声が聞き取れるように普段の何倍も顔を近づけて世間話をする。
仕事内容には慣れてきたかとか、冗談めかして恵麻さんにイジメられていないかと心配してもらったり、選手の名前やバスケのルールで不安なところがあったらいつでも聞いてなどの、そういった当たり障りのない世間話だ。
でも、普通の内容でも私には特別。
大地さんの声や仕草を一つたりとも聞き逃したり見逃したりしないように五感をフルに使い、せっせと脳みそに記憶させていった。
すると、どこから聞きつけたのか--いや出所は間違いなくザキさんだ、ルイネエが私の肩をバシバシと叩きながら鷹揚に笑う。
「ウズラ〜、あなたカレシいないって? なんならアタシが紹介してあげまショカ? 黒人、白人、好きなほうを選んでいいわよ〜」
「ぐ、グローバルすぎる……」
「そぉ?」
「ま、まずは日本人かなって」
このまま叩かれ続けたら体がお店の床にめり込んでいくんじゃないかと思うほどの強い衝撃に耐えつつ、やんわりとお断りする。
初めての彼氏が外国人って……。
誰ともつき合ったことがないとはまだ言っていないけど、それにしてもどんだけ高いハードルをルイネエは用意しようとしているのだろうか。
だから日本語が残念な私に外国語は無理だって。
とそこへ。
「何言ってんだ、俺の奥さんアメリカ人だぜ」
高浜さんが話に入ってくる。
ルイネエの顔を見上げると、その巨体からはなかなか想像できない人好きのする可愛らしい笑顔を浮かべてバチンと星が飛んでくるようなウィンクをしてきたので、どうやら高浜さんの奥さんはアメリカ人で嘘はないようだ。
「まずは日本人って保守的になってっからウズラには彼氏できないんだよ。日本人にモテなかったら外国人しかねぇべ!俺を見ろ、母国じゃ俺の良さを分かってくれる人がいなかったからアメリカ人捕まえちゃったぜ!」
「はあ……」