恋した責任、取ってください。
 
「奥さんどころか、しばらく彼女もいないよ」


そう、優しく教えてくださった。


「ほんとでしゅか!」

「ほんとだよ。だってなっちゃんに嘘ついてもしょうがないし。でも飲むとすごい変わるね。俺、グイグイ来る子好きだなあ」

「しゅ、しゅきとか……!」

「照れてるの? そういうの可愛いね」


そして、お世辞感は否めないものの『好き』と『可愛い』というお褒めの言葉まで頂いた。

なんだ、私聞けるじゃん!頑張ったらもっともっと大地さん情報を集められるかも!

絡み癖があるのはザキさんじゃなくて私のほうだったけれども、すっかり気が大きくなった私は、それからも「いつからフリーでしゅか」とか「私は大地しゃんのタイプでしゅか」とか、呂律が回らない口で色々聞いた気がする。


気がする、というのは、そこからの記憶が見事にすっぽ抜け、気づくと朝になっていたから。

目が覚めると、自室の見慣れた天井に、自分の枕やベッドの落ち着く感覚、そして足先に感じる丸まって寝ているもんちゃんの気配といったいつも通りの一日が始まろうとしていた。

少し違うのは、ズキズキと痛む頭と、昨日着ていた服のままベッドで朝を迎えたこと。

その2つが、昨日は選手の皆さんが私の歓迎会を開いてくれたことの証明になっているわけだけど--待って私どうやって帰ってきたの!?


「ややや弥生!わた、私……っ!」


弥生が使っている6畳ほどの部屋へ転がり込むように入り、スヤスヤと眠っている我が妹を必死の思いで揺さぶり起こす。

きっと弥生なら知っているはずだ。

余計な茶々を入れずに事実だけを話してくれるかは謎だけども、とにかく一人でちゃんと帰ってこられたかどうかだけでも今すぐ知りたい。
 
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