恋した責任、取ってください。
「うるさいなあ、もう……」
揺さぶり続けること、十数秒。
ものすごく迷惑そうに眉間にしわを寄せて薄目を開けた弥生の第一声は、その一言だった。
確かにうるさい、ごめんよ弥生。
でもお姉ちゃん知らなきゃいけないの!
なぜなら覚えてないから!
「ね、昨日私、どうやって帰ってきた!?」
「……え? 覚えてないの?」
「うん、全然。一つも。だから教えてもらわないと困るの。もし誰かに迷惑行為とかしてたらお詫びしなきゃいけないし、そういうの、知っておく権利あると思うんだよね!」
ふがふがと鼻息荒く弥生に詰め寄る。
すると弥生は、うざったらしかったのか、また眉間に深くしわを刻みつつ覆い被さるようにして顔を覗き込んでいた私に手でどけてと合図を出し、その遮るものがなくなったスペースにのっそりと起き上がって大きな欠伸を一つした。
どうやら私が邪魔で起き上がれなかったらしい。
ごめんよ弥生、お姉ちゃんバカだね。
「で、昨日の話だっけ?」
「そう!弥生なら知ってるでしょ?」
顔はまだ眠たそうなものの、口調がだいぶしっかりしてきた弥生に確認するように聞かれ、グイグイと被せ気味で返事をする。
弥生は、おそらく悲壮感と焦りが滲み出ているであろう私の顔面をふんと一瞥してから、胸の下までの長いストレートの黒髪をセクシーに後ろに流し、事の顛末を話しはじめた。
「お姉ちゃんは昨日、岬さんと佐藤さんに付き添われて帰ってきたね。2人とも背おっきいしイケメンだし、あたしビックリしちゃって。聞けば会社のバスケチームでレギュラーだって言うじゃん。特に佐藤さん!一見クールに見えて実は純情そうなところがたまらないよね!もうキュンキュンだよ!さっそく番号の交換してもらっちゃったんだ〜、恋人いないよね?」
「あ、えと……それは分かんないけど、付き添われてたってことは、結局私は自力では帰ってこられなかったってワケですかね?」